わかりやすく解説!事業継続力強化計画とは?メリットや計画書の策定方法について

「BCP(事業継続計画)」は知っているが、事業継続力強化計画についてあまりよく知らない・わからないという方が多いのではないでしょうか?
この記事では、事業継続力強化計画について知りたい方に向けて、以下の2点がわかる記事です。
- 事業継続力強化計画のわかりやすい概要と申請するメリット
- 申請に必要な計画書策定の4つのポイント

それでは早速わかりやすく
事業継続力強化計画について解説していきます
事業継続力強化計画とは?

事業継続力強化計画とは、中小企業向けの防災や減災対策計画のことです。
近年自然災害が全国各地で頻発しており、大規模な自然災害や感染症が発生すれば、中小企業だけではなく、サプライチェーン全体にも大きな影響を及ぼします。
そのためこのような影響に対策を講じるために、2019年5月29日に「中小企業強靭化法」が成立し、同年7月16日に施行されました。
経済産業大臣が事業継続力強化計画として認定することで、税制優遇や金融支援、補助金の支援策を受けることができます。
ベースとなる中小企業強靭化法とは
先ほどお話しした「中小企業強靭化法(正式名称:中小企業の事業活動の継続に資するための中小企業等経営強化法等の一部を改正する法律)」とは、中小企業の災害対応力を高めて、スムーズな事業継承を推進するために施行された法律です。
災害発生をきっかけに事業継続が困難となる中小企業が多い中で、中小企業強靭化法では国からの支援を含めて中小企業の強靭化を図る目的があります。
【参考】事業継続力強化計画/中小企業庁
事業継続力強化計画の認定を受けた際の優遇措置
優遇措置 | 概要 |
---|---|
1.税制優遇 | 「中小企業防災・減災投資促進税制」によって、認定を受けた中小企業や小規模事業者の防災や減災に係る設備投資に特別償却(20%)を講じる |
2.金融支援 | 「信用保証」によって、認定を受けた中小企業や小規模事業者の信用保険の保証枠を別枠追加 また「日本政策金融公庫・BCP融資の拡充」によって、津波や水害・土砂災害の対策地域に事業所がある場合、土地に係る設備資金について貸付金利引き下げ さらに防災に係る設備資金の貸付金利を基準金利から引き下げ |
3.補助金 | 「補助金採択に当たっての優遇」によって、認定を受けた中小企業や小規模事業者が補助金採択にあたって加点措置が受けられるなどの措置 「自家用発電設備等導入への補助」によって、大規模災害を想定して事業の中断を未然に防ぐために、石油製品等を用いる自家発電設備等の設置に要する経費の一部を補助 |
【参考】第2話 計画策定・申請のメリット~うれしい経済的メリットの話~/中小機構
防災や減災対策を講じる際にネックになるのが資金面での負担ですが、事業継続力強化計画の認定を受けることで、上記3つの優遇措置を受けられるので、経済的な負担を減らすことができます。
「2.金融支援」では、以下の3つの別枠追加の優遇措置を受けることができます。
- 普通保険…別枠追加2億円(組合4億円)
- 無担保保険…別枠追加8,000万円
- 特別小口保険…別枠追加1,250万円
上記の他に、「新規事業開拓保険」では2億円から3億円(組合4億円から6億円)、「海外投資関係保険」では2億円から4億円(組合4億円から6億円)の保証枠の拡大があります。
「3.補助金」では 、ものづくり補助金などの一部補助金において申請の際に加点を受けることができます。
また、地方自治体などから支援措置を受けられる場合があります
事業継続力強化計画の計画書の策定4つのポイント

事業継続力強化計画の申請を行うには、計画書を作成する必要があります。
計画書には、以下の4点を記載する必要があるので、記載漏れのないように補助金などのサポートを行う行政書士とともに相談しながら作成すると良いでしょう。
事業継続力強化計画 申請書の書き方はコチラでお話しております!




【参考】第3話 計画の5つのステップ~こうすればうまくいく策定の流れ~/中小機構
ここからは上記4つの項目について詳しく解説していきます。

ハザードマップは、自治体や国土交通省・地震ハザードステーション(J-SHIS)で確認することができます。
工場や事業所がある地域の災害リスクを確認・認識して、従業員(ヒト)や建物や設備(モノなど、具体的に何に被害が及ぶのか想定しましょう。

業種によって災害時などの緊急時の初動対応が異なるようなイメージがありますが、ここで言う初動時の対応は以下の3つです。
- 人命の安全確保
- 非常時の緊急時態勢の構築
- 被害状況の把握・被害情報の共有
従業員や顧客の避難や安否確認をどのように行うのかを考え、平時から取り組む避難訓練などを活用しながら対応策を考えます。
特に飲食店・小売業では顧客と従業員を守る防災・減災対策が求められます。
非常時に役割を決めておくことで、スムーズに緊急事態に対応できる他に、万が一連絡が取れなくなった役割の人がいたとしても、代替え体制を決めておくことでより安定した施策となります。
最後に被害状況の把握と情報の共有では、平時の情報報告体制を整備することで、緊急時にも応用することができます。
過去に起きた東日本大震災や大阪北部地震などでは、電話がつながりにくい状況が発生したため、ビジネス用SNSの導入などを検討してみましょう。

「安否確認や避難実施方法など、発災時の初動対応の手順」でお話ししたリスクに対して、どのような対策を行うのが効率的かを検討するようにします。
一定の資金が必要な場合、事業継続力強化計画の認定を受けることで、税制優遇などを受けられるので、事業継続力強化計画のメリットを今一度読み返すようにしましょう。

事業継続力強化計画の実行性を確保するためには、平時から繰り返し取り組む必要があります。
災害時にはパニックに陥り冷静な判断ができなくなることが多いので、落ち着いて行動できるように日頃から訓練などを繰り返すようにしましょう。
計画策定では、平時の避難訓練の実施態勢などを検討することも重要です。
製造業など工場では平時から避難訓練を定期的に実施していることが多いですが、それだけでは防災対策とは言えません。
防災マニュアルを作成し、製造ラインやグループごとにビジネス用SNSなどを活用して共有することで、従業員の全員が災害時にどうすればいいのか知っておく必要があります。
まとめ
事業継続力強化計画とは、2019年7月16日に施行された「中小企業強靭化法」をベースに、認定を受けた中小企業や小規模事業者に対して税制優遇などの優遇措置を受けられるようにするものです。
優遇措置を受けることで、防災や減災対策へ資金を充てることができるようになるので、きめ細やかな防災・減災対策が可能となります。
事業継続力強化計画の申請を行う際は、計画書を作成する必要があります。
計画書では今回ご紹介した4つの項目について具体的に記載する必要があるので、補助金申請のサポートを行う行政書士と共に相談しながら策定するようにしましょう。
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