事業再構築補助金の概要 個人事業主向け
5月26日から受付が開始された事業再構築補助金の対象者は、「企業及び個人」という文言が記されていますが、先に結論を言うと個人事業主かフリーランスの方も条件を満たせば事業再構築補助金を申請できます。
今回は、個人事業主やフリーランスの方が事業再構築補助金に応募する際に知っておきたい以下の4点について詳しく解説いたします。
事業再構築補助金の条件や給付額など
おすすめの応募枠
補助対象となる経費と注意点
事業計画書の書き方
事業再構築補助金は個人事業主やフリーランスも申請できる
事業再構築補助金の対象は、中小企業や中堅企業だけではなく、個人事業主やフリーランスの方も対象となります。

ここからは、個人事業主やフリーランスの方が事業再構築補助金を申請する際に知っておきたい条件や補助金額・デメリットについて解説いたします。
YouTubeでは事業再構築補助金以外の個人事業主の補助金についてもお話しております。
対象となる個人事業主やフリーランスの条件
事業再構築補助金は、常時使用する従業員の数で条件を満たすことで、個人事業主やフリーランスの方も申請することが可能です。
常時使用する従業員の数とは、中小企業基本法で定められている「常時使用する従業員」のことで、「予め解雇の予告を必要とする者」のことです。
- 製造業・建築業・運輸業・その他…20人以下
- 卸売業…5人以下
- サービス業…5人以下
- 小売業…5人以下
上記の常時使用する従業員の数であれば、個人事業主やフリーランスの方も事業再構築補助金の対象となります。
個人事業主やフリーランスが受け取ることができる給付金額
事業再構築補助金には、「通常枠」「卒業枠」「グローバルV字回復枠」「緊急事態宣言特別枠」の4つに分かれていますが、個人事業主やフリーランスの方が申請する際は「通常枠」で問題ありません。
通常枠である場合、補助額は100万円〜6,000万円、補助率2/3となっています。
しかし後述するデメリットがあることを忘れてはいけません。
個人事業主やフリーランスが事業再構築補助金を申請するデメリット
大きな補助金額の枠で申請するということは、法人や中小企業の申請が集中するので、事業規模や資金面でこれら企業と比べると劣る個人事業主やフリーランスは、採択されにくくなります。
確かに個人事業主やフリーランスの方が事業再構築補助金を申請する場合は通常枠で問題ないのですが、おすすめの方法としては後述する「緊急事態宣言枠」で申請した方が良いでしょう。
事業再構築補助金の緊急事態宣言枠とは?
事業再構築補助金の緊急事態宣言枠は、事業再構築補助金の要件を全て満たしていて、それでいてかつ飲食店の時短営業や不要不急の外出・移動の自粛などで影響を受けた方が対象となります。

令和3年1月〜5月のいずれかの月の売上高が対前年もしくは前々年の同月比で30%以上減少している個人事業主・フリーランスの方が対象です。
従業員数 | 補助金額 |
5人以下 | 100〜500万円 |
6〜20人 | 100〜1,000万円 |
21人以上 | 100万円〜1,500万円 |
この特別枠に申請して、不採択となった個人事業主やフリーランスの場合は、加点された上で通常枠で再審査されます。
特別枠に申請できるのは小規模事業者のみなので、個人事業主やフリーランスの方はまず特別枠で申請できるのかどうかを検討してみましょう。
また特別枠で申請する場合は、青色申告もしくは白色申告の決済書が添付資料として必要となります。
- 申請に用いる任意の3ヶ月間の比較対象となる、2019年もしくは2020年1〜3月の同3ヶ月間の売上がわかる年度の確定申告書の第一表の控え
- 1の確定申告書と同年度の月別売上の記入のある、所得税青色申告決算書の控えがあれば添付。白色申告の場合は売上台帳や帳簿・その他確定申告の基礎となる書類の添付
- e-Taxで申告している場合は受信通知
- 申告に用いる2020年または2021年の任意の3ヶ月間の売上がわかる確定申告書第一表の控え
- 4の確定申告書と同年度の月別売上の記入のある、所得税青色申告決済書の控えがある場合は両面の控え。白色申告の場合は売上台帳・帳簿など確定申告の基礎となる書類
コロナ以前とコロナ禍での売上差がわかる上記の資料を用意して、売上減少を証明する書類として添付しましょう。
事業再構築補助金の補助対象となるのはどんな経費?
事業再構築補助金では、補助対象となる経費が明確に示されており、それにそぐわない経費は補助対象になりません。
ここからは、具体的にどのような経費が補助対象となるのか。
そして、補助対象経費の注意点について解説していきます。
補助対象となる経費
補助対象となる経費 | 詳細 |
1.建物費 | 補助事業のために使用される事務所や生産施設・加工施設・販売施設・検査施設・共同作業場・倉庫など実施に不可欠と認められる建物の建設や改修費用 もしくは建物の撤去・賃貸物件の原状回復に必要な経費 |
2.機械装置・システム構築費 | 補助事業のために使用される機械装置や工具・器具の購入や政策・借用・専用ソフトウェア・情報システムなどの購入・構築・借用に必要な経費 さらに、改良や修繕・据え付けまたは運搬に必要な経費 |
3.技術導入費 | 補助事業遂行のために必要な知的財産権等導入に必要な経費 専門家経費・外注費をあわせて支出することはできない |
4.専門家経費 | 本事業遂行のために依頼した専門家に支払われる経費 技術導入費や外注費をあわせて支出することはできない |
5.運搬費 | 運搬料や宅配・郵送料に必要な経費 |
6.クラウドサービス利用費 | クラウドサービス利用に関する経費 自社の他事業と共有する場合は対象外 例えば、サーバー領域をレンタルする場合、サービス利用料の費用は補助対象の経費となるが、サーバー購入費やサーバー自体のレンタル費用は対象外 |
7.外注費 | 補助事業遂行のために必要な加工や設計デザイン・検査などの一部を外注する場合の経費 外注先が機械装置などのシステムなどを購入する費用は対象外 |
8. 知的財産権等関連経費 | サービス開発の成果の事業化にあたり必要な特許権などの知的財産権等の取得に要する弁護士の手続き代行費用や、外国特許出願のための翻訳料などに関する経費 |
9. 広告宣伝・販売促進費 | サービスに係る広告の作成や、媒体掲載・展示会出店・セミナー開催・市場調査・営業代行利用・マーケティングツールの活用等に係る経費 しかし補助事業以外の自社製品やサービスなどの広告や、会社全体の記事作成広告に関する経費は対象外 |
10.研修費 | 補助事業遂行のために必要な教育訓練や講座受講に係る経費 |
11.海外旅費 | 海外事業の拡大や強化などを目的として、本事業に必要不可欠な海外渡航や宿泊などに要する経費 対象となるのは卒業枠もしくはグローバルV字回復枠のみ 申請時に海外渡航の計画をあらかじめ提出する必要がある |
事業拡大に繋がる有形や無形を問わない事業資産への、相応規模の投資をすることを条件に、経費が補助対象となります。
しかし本事業の対象として明確に区分されている必要があるので、後述する事業計画書内で記載する必要があります。
補助対象となる経費の注意点
補助対象となる経費は消費税を含めて算定すると考えてしまいますが、事業再構築補助金申請の場合では、消費税などは補助対象経費から除外して算定する必要があります。
また、補助対象経費は補助事業実施期間内に補助事業のために支払いを行なったと確認できる必要があります。
そのため銀行振り込みで後々確認が取れる形で支払いを行うようにしましょう。
最後に過度な経費は見直しの対象となります。
過度な経費とは、価格の妥当性について十分な根拠が示されていない経費のことで、このほかにも本事業の目的や事業計画に対して不適当とされる経費は、交付決定の手続きの際に、事務局から見直しを求められるので注意しましょう。
全13項目を埋める!事業計画書の書き方
事業再構築補助金の審査項目は全部で13項目あり、一つずつ審査員を納得させられる内容である必要があります。
また、一つずつの項目に対して点数がつけられて採択・不採択が決定するので、記入もれのないように、全13項目全てを埋めるようにしましょう。
- 補助対象者としての適格性
- 事業化点(4項目)
- 再構築点(4項目)
- 政策点(5項目)
それぞれは事務局が公表した公募要領に記されていますが、要約すると以下のようになります。
- 事業実施のための体制はどうか?事業化に向けて市場ニーズを考慮しているか?など、事業計画の具体的な内容や妥当性
- 指針に沿っているか?再構築を行う必要性や緊急性は高いか?地域の発展やイノベーションに貢献するか?補助事業を取り組む理由やその成果
- 地域経済への貢献や国の政策に合致しているかどうか
テストと同じで、記入もれがあれば点数をつけることができずに0点になります。

そのため審査項目ごとに点数をつけてもらえるように、申請書の中でこれらの審査項目を全て埋めるようにしましょう。
まとめ
事業再構築補助金の二次応募の受付は5月26日から開始され、7月3日まで受け付けています。
事業再構築補助金は、要件を満たせば個人事業主やフリーランスの方も応募することが可能。
応募枠は「通常枠」で構いませんが、他の企業も通常枠に応募することを考えると、資金力など企業と比べて劣る個人事業主やフリーランスの方は「特別枠」に応募することをおすすめいたします。
特別枠では確定申告書に必要な書類の控えなどの提出が別途必要なので注意が必要です。
また同じく添付が必須である事業計画書は、全部で13項目あるので全てもれなく記載する必要があります。
きたごう行政書士事務所では、事業再構築補助金のサポートを行なっております。
ホームページから気軽にお問い合わせいただけるので、必要な場合はぜひご相談ください。