きたごう行政書士事務所よりお知らせ

補助金の経費と消費税の取り扱い

最近、お問い合わせが多いのが「補助金の経費に消費税を入れてよいのか?」というものです。

消費税があまりにも一般的すぎて、お見積もりを取っていただく際に、当然のように(税込み)表記で記載されて、いわゆる「キリのよい値段」となっているケースなどがあります。

まず、結論から申し上げますと「原則、消費税は経費に算入できない」と申し上げておきます。

主な補助金の公募要領について

あえて「原則」としたのには例外もあるからなのですが、基本的に下記のように補助金は消費税は認められないと覚えておいて差支えがないでしょう。

1,事業再構築補助金

公募要領の対象経費の項目の後、「(2)補助対象経費全般にわたる留意事項」で「以下の経費は、補助対象になりません。」と、記載があります。(P28:令和4年7月の第7回公募要領)

2,ものづくり補助金

ものづくり補助金でも同様の記載があります。(第11次公募要領のP19~20)

3,IT導入補助金

通常枠(A・B枠)では下記の通り、対象外となる経費に下記の通り。

デジタル化基盤導入枠でも、同じように(ニ)公租公課(消費税)。と記載があります。(公募要領:P17)

小規模事業者持続化補助金 の場合

さて、ここまで主だった補助金は「消費税」は対象外。となっていることが記載されておりますが、「小規模事業者持続化補助金」だけは少し違います。

基本的に上記と同じように「公租公課」は対象外。もちろん消費税も含みますが、この補助金だけは「例外」があります。

※ あくまで「例外」であります。

他の公租公課。例えば住民税などは対象外なのは言うまでもない事ですが、消費税だけは上記の通り、

消費税・地方消費税は、(消費税等を補助対象経費に含めて補助金交付申請額を申請し、その内容で交付決定を受けた「免税事業者・簡易課税事業者の単独申請者」を除き、)補助対象外とする。ただし、旅費に係る出入国税は補助対象とする。

わかりにくい書き方ですので下記にまとめます。

「免税事業者・簡易課税事業者」で、「単独申請」をする場合、事業計画で「消費税込み」の値段で補助対象経費を書き、採択され、交付決定を受けた場合、消費税を含んで経費にしても良い。

ということです。

ちなみに旅費の出入国税も認められるようです。

で、この「免税事業者・簡易課税事業者」とは何か。ですが、下記の3点です。

① 消費税法における納税義務者とならない補助事業者
② 免税事業者である補助事業者
③ 簡易課税事業者である補助事業者

① 消費税法における納税義務者とならない補助事業者 とは、その課税期間の基準期間における課税売上高が1,000万円以下の事業者 の事を言います。また、設立して間もない法人や個人事業主も課税期間がないのでこれに当たります。

ここでいう「基準期間」というのは「個人事業者の場合は前々年、法人の場合は前々事業年度」のことをいいます。

② 免税事業者である補助事業者 とは、上記を含め、下記に該当しない事業者です。

特定期間における課税売上高または支払給与総額が1,000万円を超えるとき

特定期間とは、「個人事業者の前年の1月1日から6月30日までの期間」「法人の前事業年度の開始の日から6カ月間」または「法人の前事業年度が7カ月以下である場合、前々事業年度(基準期間に該当する事業年度を除く)開始の日から6カ月間。ただし、前々事業年度が6カ月以下の場合は、その前々事業年度」です。

③ 簡易課税事業者である補助事業者 とは、前々年又は前々事業年度の課税売上高が5,000万円以下で、「消費税簡易課税制度選択届出書」を事前に提出している事業者

です。

小規模事業者持続化補助金で上記に該当し、消費税を含む理由としては、小規模事業者にとって投資は大変な事であり、

補助事業の遂行に支障をきたす恐れがあるため、消費税等を補助対象経費に含めて補助金額を算定できるものとします。

小規模事業者持続化補助金 参考資料より

と、されています。

事業計画書の対象経費の「税込」に〇をつけて申請できます。

繰り返しますが

補助金は原則「消費税は含まない」ということを念頭に、

「小規模事業者事業者持続化補助金で、免税事業者である場合のみ」経費算入が認められる。

と、いうことですね。