きたごう行政書士事務所よりお知らせ

【ものづくり補助金】14次公募の審査項目を読んでゆこう

ものづくり補助金14次公募が公開され、公募締め切りが4月19日となっております。

今回から大幅に公募要領が改定され、令和4年度補正予算区分での施行となりました。

今回は、ものづくり補助金の申請をするにあたりましての、「審査項目」を重点的に見て行こうと思います!

Contents

審査項目は公募要領の33ページから

公募要領の33ページ目から審査に当たって審査員がチェックする項目が記載されております。

では早速みてゆきましょう。

(1)補助対象事業としての適格性

「5.補助対象事業の申請要件、申請枠及び補助率等」を満たすか。3~5年計画で「付加価
値額」年率平均3%以上の増加等を達成する取組であるか。なお、「応募者の概要」に記載いただいた内容は、審査に考慮されません。

公募要領P33より引用

これはいわゆる、「基本要件」を満たした申請であるかという事です。

基本要件とは、「総給与支給額年率1.5%以上の上昇」「地域別最低賃金+30円<事業場内最低賃金」「付加価値額(※)年率3%以上の向上」となるような計画となっているか。

また、補助率・補助額に間違いがないか。申請枠に応じた申請になっているか。

補助対象外事業ではないか。補助対象外事業者ではないか。この辺の基本的な要件に合致するかの審査項目です。

※付加価値額(営業利益+減価償却費+人件費)

この辺はまずもって当たり前のことなのですが、申請をお考えになる前に気を付けておきたい項目です。

特に「再生可能エネルギー」の経費や「マイニング」「コインパーキング」など資産運用に関する支出は今回から明確に「対象外」とされたので気を付けてください。

(2)技術面

① 新製品・新サービス(既存技術の転用や隠れた価値の発掘(設計・デザイン、アイデア
の活用等を含む))の革新的な開発となっているか。「中小サービス事業者の生産性向上
のためのガイドライン」又は「中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指
針」に沿った取組であるか。
② 試作品・サービスモデル等の開発における課題が明確になっているとともに、補助事業
の目標に対する達成度の考え方を明確に設定しているか。
③ 課題の解決方法が明確かつ妥当であり、優位性が見込まれるか。
④ 補助事業実施のための技術的能力が備わっているか。

公募要領33ページより引用

技術面です。こちら①から順番に見てゆきましょう。

① 新製品・新サービス(既存技術の転用や隠れた価値の発掘(設計・デザイン、アイデアの活用等を含む))の革新的な開発となっているか。「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」又は「中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針」に沿った取組であるか。

ものづくり補助金では昔から「革新性」が大きなテーマとなっております。

革新性というのは、様々な解釈もありますが、いわゆる「他社でも業界でもまだ一般的ではない新規性のある事業」「独自性のある事業」「模倣困難な事業」という様々な要因を勘案して判断するに至るものであろうかと思います。

「思います」とふわっとしているのは、やはり解釈も様々で、こちら「これです!」と堂々と言えないところでもあります。

ただ一つ言えるのは「他社と比べてどう優位性が実現できるのか」という視点にたっての価値観でありますので、あくまでも「自社基準では革新的」という「当社比」での判断ではないという事ですね。

「隠れた価値の発掘」というように自社の知的資産と言いますか、自社のこれまでのノウハウなどを見える化して価値を創造し、それをサービスに転嫁させるなどの取組も革新的であるとされます。

さて、その判断基準を明確にするために、「指針」にどう関連するかを記載しろとあります。

それが「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」と「中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針」です。

これを一個一個ザックリ見てゆきましょう。詳しく解説するとそれだけで一個記事が出来るのでザックリです。

中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン

このガイドラインですが、一般的に「生産性向上」というと製造業などの製品を作る(生産)の方式や効率を向上させるというイメージですが「じゃあ、サービス業の場合はどんなイメージなの?」ということに対して出されたガイドラインです。ザックリいいますと。

https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/shinpou/2020/200218shinpou05.pdf

さて、詳しくはまた改めてお話ししようと思いますが、下記をご覧ください。

大きく2つの項目と、それに伴いいくつかの小項目があります。

自社の新サービスがどういった付加価値を生んで、どう効率を高めてゆく事業になるのか。

こちらのガイドラインとの関連性を示してゆく事になります。

ものづくり補助金で「新役務の開発」「新役務の導入」を行う場合はこちらのガイドラインとの関連性を示してゆく事になります。

中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針

特定高度化指針とか言われますが、法律の改廃にともなって、随時更新されております。

ものづくり補助金で「新製品の開発」「新製品の開発方式の導入」を行う場合はこちらの指針との関連性を示してゆく事になります。

https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/sapoin/shishin.html

さて、これはまさに「製造」に関する指針となります。

令和3年改正の概要資料より

製造と一言で言っても様々な「製造」や「製造方法」があります。

その業種に応じ、どんな課題があり、どのように解決してニーズ充足してゆくかの指針となります。

この辺の指針の詳しい解説はまた今度、記事でお話ししようと思います。

それでは審査項目に戻りましょう。

② 試作品・サービスモデル等の開発における課題が明確になっているとともに、補助事業の目標に対する達成度の考え方を明確に設定しているか。

ここでいう「課題」とは上記のように「新しい製品やサービスを開発してゆく中で。どんな課題があるか」です。その課題が明確に示されているかという項目です。

そして、目標とその「達成度の考え方」を明確に設定しろと言っております。

どういった目標があり、達成度はどこまでいけば「達成」と考えられるのか。明確に示してゆきます。

③ 課題の解決方法が明確かつ妥当であり、優位性が見込まれるか。

②の課題について、解決方法が妥当なものであるか。明確に示してゆきます。

「妥当」というのは、たとえば課題解決には「新しい設備」と「他社に勝る自社の強み」を組合せ、他社に対して優位性を見込んでゆこうということで、ただ「設備を導入すれば全部解決!」というと飛躍になってしまいます。

効果として、課題解決の手段により、他社に対して例えば「品質」「コスト」「納期」の面で優位性が見込まれるかということをしっかり記載してゆく事になります。

④ 補助事業実施のための技術的能力が備わっているか。

実現可能性として、まずもって「技術面」がしっかり備わっているかを記載します。

絵に描いた餅ではなく、これまでのノウハウを活用して行うことが出来るか、またデジタル枠などで急激に社内のIoT化を進めても使いこなせなければ意味がありませんので、そこのところもしっかり考えられているかを記載します。

以上が、技術面の審査項目です。続いて、事業化面に移りましょう。

(3)事業化面

結局、新製品や新サービスを開発・導入しても、事業化(売る・売れる・売り方)できなければ意味がありません。この審査項目では下記の項目でしっかりとみられてゆく事になります。

① 補助事業実施のための社内外の体制(人材、事務処理能力、専門的知見等)や最近の財務
状況等から、補助事業を適切に遂行できると期待できるか。金融機関等からの十分な資金の
調達が見込まれるか。
② 事業化に向けて、市場ニーズを考慮するとともに、補助事業の成果の事業化が寄与する
ユーザー、マーケット及び市場規模が明確か。クラウドファンディング等を活用し、市場
ニーズの有無を検証できているか。
③ 補助事業の成果が価格的・性能的に優位性や収益性を有し、かつ、事業化に至るまでの
遂行方法及びスケジュールが妥当か。
④ 補助事業として費用対効果(補助金の投入額に対して想定される売上・収益の規模、そ
の実現性等)が高いか。

公募要領33ページより

それでは一項目ごと見てゆきましょう。

① 補助事業実施のための社内外の体制(人材、事務処理能力、専門的知見等)や最近の財務状況等から、補助事業を適切に遂行できると期待できるか。金融機関等からの十分な資金の調達が見込まれるか。

実際に補助事業を行うになって「ヒト」「モノ」「カネ」は備わっているかという事です。

主に「ヒト」と「カネ」になりますが、まずは社内外でしっかりと事業を行える体制や関係構築はされているかという事になります。

社外体制は「設備導入元」「ユーザー(顧客)」「原材料調達元」「支援機関」「金融機関」などと連携がされているかを記載します。

社内体制は「事務能力」のあるスタッフ、社員はいるか。専門的知識を有しているか。また外部から提供を受けるときは内部でどう共有するかの体制や、資格、経験を記載します。

資金面に関して、多額の支出をいったん行うことになりますので、自社のキャッシュフローは最近の財務状況的に大丈夫か。または金融機関から融資の内諾などが取れているかなど、記載してゆきます。

② 事業化に向けて、市場ニーズを考慮するとともに、補助事業の成果の事業化が寄与するユーザー、マーケット及び市場規模が明確か。クラウドファンディング等を活用し、市場ニーズの有無を検証できているか。

まずは、市場の動向やニーズについて明確に示します。表やデータなどしっかりと公式なデータや調査会社のマーケティングデータを活用してエビデンスを示します。

そして成果が寄与するユーザー、マーケットとは、今回行う事業の販売先(ユーザー)とマーケット(市場)を明確に示します。

クラファンは行っていなくても良いですが、市場ニーズの有無を記載します。

結局、需要があるかないのか。証拠を示しながら記載してゆく事になります。(問い合わせがあった、こういった発注が増えているなど)

③ 補助事業の成果が価格的・性能的に優位性や収益性を有し、かつ、事業化に至るまでの遂行方法及びスケジュールが妥当か。

技術面で、優位性があるか。という話ですが、事業化面でも成果として、どう優位性があるのかを「価格的」「性能的」に優位性や収益性があるかと示せということですね。

競合他社に比べて、価格や性能が優れているのか、効果としてあるのかと記載します。

そしてスケジュール(アクションプラン)をしっかりと記載します。遂行方法を記載しますが、いわゆる事業化に当たってのことなので、どうやって顧客へのアプローチを行うのか(広報戦略)や販売方法など記載してゆく事になります。

④ 補助事業として費用対効果(補助金の投入額に対して想定される売上・収益の規模、その実現性等)が高いか。

費用対効果の問題です。例えば1,000万円の補助額に対して、どれだけ収益があるのか。付加価値額が向上するのか。記載します。

実現性もしっかりと地に足をつけた上記1~3までの計画であるのかを説明します。

これが「事業化面」での審査項目となります。では次、政策面ですね。

(4)政策面

ものづくり補助金は国(経産省・中小企業庁)の事業ですので、国の政策との関連性も示しておかなければなりません。

下記の項目です。

① 地域の特性を活かして高い付加価値を創出し、地域の事業者等や雇用に対する経済的波
及効果を及ぼすことにより地域の経済成長(大規模災害からの復興等を含む)を牽引する
事業となることが期待できるか。
※以下に選定されている企業や承認を受けた計画がある企業は審査で考慮いたします。
○地域未来牽引企業
https://www.meti.go.jp/policy/sme_chiiki/chiiki_kenin_kigyou/index.html
○地域未来投資促進法に基づく地域経済牽引事業計画
https://www.meti.go.jp/policy/sme_chiiki/miraitoushi/jigyou.html
② ニッチ分野において、適切なマーケティング、独自性の高い製品・サービス開発、厳格
な品質管理などにより差別化を行い、グローバル市場でもトップの地位を築く潜在性を有
しているか。
③ 異なるサービスを提供する事業者が共通のプラットフォームを構築してサービスを提供
するような場合など、単独では解決が難しい課題について複数の事業者が連携して取組む
ことにより、高い生産性向上が期待できるか。異なる強みを持つ複数の企業等(大学等を
含む)が共同体を構成して製品開発を行うなど、経済的波及効果が期待できるか。また、
事業承継を契機として新しい取組を行うなど経営資源の有効活用が期待できるか。
※以下のファイナリスト企業は審査で考慮いたします。
○アトツギ甲子園
https://atotsugi-koshien.go.jp/
④ 先端的なデジタル技術の活用、低炭素技術の活用、環境に配慮した事業の実施、経済社
会にとって特に重要な技術の活用、新しいビジネスモデルの構築等を通じて、我が国のイ
ノベーションを牽引し得るか。
⑤ ウィズコロナ・ポストコロナに向けた経済構造の転換、事業環境の変化に対応する投資内容であるか。また、成長と分配の好循環を実現させるために、有効な投資内容となっているか。

公募要領33・34ページより

① 地域の特性を活かして高い付加価値を創出し、地域の事業者等や雇用に対する経済的波及効果を及ぼすことにより地域の経済成長(大規模災害からの復興等を含む)を牽引する事業となることが期待できるか。

この下の、地域未来牽引企業地域未来投資促進法に基づく地域経済牽引事業計画の審査項目との関連性を記載すれば良いでしょう。

この上記に既に認定されていれば、「審査で考慮します」とあるとおり、加点になるんじゃなかろうかと思われます。

これについてはまた別の記事でご説明しようと思います。

② ニッチ分野において、適切なマーケティング、独自性の高い製品・サービス開発、厳格な品質管理などにより差別化を行い、グローバル市場でもトップの地位を築く潜在性を有しているか。

いわゆる「グローバルニッチ」というやつですね。差別化を図って、独自性の高い製品・サービスを提供し、グローバル市場でもそのブルーオーシャンな市場で活躍できるかという事です。

これに関して「グローバルニッチトップ企業100選」という経産省が認定している制度があります。この選定基準などを参考にしてゆきましょう。

https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/gnt100/index.html

③ 異なるサービスを提供する事業者が共通のプラットフォームを構築してサービスを提供するような場合など、単独では解決が難しい課題について複数の事業者が連携して取組むことにより、高い生産性向上が期待できるか。異なる強みを持つ複数の企業等(大学等を含む)が共同体を構成して製品開発を行うなど、経済的波及効果が期待できるか。また、事業承継を契機として新しい取組を行うなど経営資源の有効活用が期待できるか。
※以下のファイナリスト企業は審査で考慮いたします。
○アトツギ甲子園
https://atotsugi-koshien.go.jp/


これは「はばたく中小企業・小規模事業者300社 」の選定基準や、新連携といったちょっと前からの国の政策に加え、事業承継でただ承継するだけでなく、新しい取組(革新性のある事業)を行うかというちょっとごちゃっとまぜた項目になっています。

アトツギ甲子園のファイナリストは審査で考慮される通り、事業承継の課題に対してどうかという側面もあります。

④ 先端的なデジタル技術の活用、低炭素技術の活用、環境に配慮した事業の実施、経済社会にとって特に重要な技術の活用、新しいビジネスモデルの構築等を通じて、我が国のイノベーションを牽引し得るか。

先端的なデジタル技術の活用・・と言われてもなかなかピンときませんが、ググると「デジタルトランスフォーメーション(DX)」という言葉が出てきました。AI、IoT、RPAなどの技術が出てきております。

低炭素技術の活用に関しては「カーボンニュートラル」に関することだろうとは思います。二酸化炭素排出削減、吸収などでゼロにしてゆくという取り組みに係る新技術です。

こういった新技術を活かして、あるいは生み出して新しいビジネスモデルを作り、イノベーションを牽引しうるかという事を書けと言っています。

まぁ、なかなか壮大ですが、自社としてどのような取り組みを行っているか。また補助事業でどういった事が上記のうち実現できるかを記載しておくと良いでしょう。

⑤ ウィズコロナ・ポストコロナに向けた経済構造の転換、事業環境の変化に対応する投資内容であるか。また、成長と分配の好循環を実現させるために、有効な投資内容となっているか。

事業再構築補助金みたいなことを言っていますが、まぁ、まさにその通りでして、事業環境がコロナ禍でガラっと変化しており、ある程度、自社としてどういった取組に繋がるのか。新しい市場に対するアプローチになっているのか。記載します。

成長と分配の好循環と現政権のスローガンですが、しっかりと利益を従業員に分配してゆくような仕組みで行われているか。という事も記載が必要です。

ここから先はそれぞれの枠、補助額上乗せに応じての追加審査項目

ここから先、(5)はグリーン枠、(6)はグローバル枠(7)は大幅な賃金上昇で補助額引上を行う場合の審査項目になります。

これに関しては各項目の追加要件などに従って記事を追加していこうと思います。

ものづくり補助金についてこんなお悩みありませんか?

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