きたごう行政書士事務所よりお知らせ

【事業再構築補助金】採択後に気づいてももう遅い?農地に関すること

事業再構築補助金では現在のところ、建物費という項目が認められており、一定の制限の下ではありますが、新築の建物を建築することが出来ます。

事業計画として、新たに建物を建築する必要があり、その妥当性を書面で説明する事で経費に充当することが可能です。

事業再構築補助金において、建物の新築に要する経費は補助事業の実施に真に必要不可欠であること及び代替手段が存在しない場合に限り認められます。
どのような考え方で判断するのかといった事例を作成しておりますので、以下をご参照ください。
建物新築の必要性における判断事例

事業再構築補助金ホームページTOPより

さて、実際にこうした新築建物を構築する計画で採択されたとします。しかし、その土地が「農地」だった場合、法令上の制限は採択審査では考慮されていません。

したがって、農地に建物を建てるための法令上の制限の確認。これは、事業者さん自身で確認しなければなりません。今回はその確認についてお話いたします。

農地は「農地法」という法令で開発が制限されている

建物を新たに建築する際には様々な法令上の制限があります。建築基準法などもちろん、建物自体の件もそうですが、建築する場合の土地が「農地」土地が「田」や「畑」であった場合、特別な制限がかけられます。

それが「農地法」です。

国策として農地は一定程度保護する目的もあり、乱開発などを防ぐ目的でもあります。

つまり、農地に建物を建てる際は一定の制限があり、また、土地を「農地」から「宅地」や「雑種地」などに「転用」する必要があります。

そして原則、農地は開発はできないのであり、一定の制限を解除してもらうことで開発が可能になります。

これを行うためには各市区町村に「許可申請」または「届出」を出す必要があります。

しかも、その用途やもともとの土地の状況によって、行う手続きは様々です。

具体的に、どんなことを確認しなければならないか。をお話します。

まずは「市街化区域」「市街化調整区域」など区域区分を確認する

まずは建築しようとしている農地が「市街化区域」「市街化調整区域」などこれを「用途地域」といいます。この区分を確認する必要があります。

都市計画というものがありまして、都市計画区域かどうでないかの判別、そして、都市計画区域には「市街化区域」「市街化調整区域」「非線引区域」の3種類にわけられます。

市街化区域というのは、既に市街地を形成している区域や、今後優先して計画的に市街地化を図ってゆく区域でおよそ10年以内に市街化が推進される区域のことです。

市街化調整区域というのは、市街化を原則、抑制してゆく区域で、多くの農地はこの区域にあることが多いです。農地や森林を守ってゆこうという区域の事ですね。

非線引区域というのは「市街化」「市街化調整」の線引きがされていない。いわゆる開発はOKだけれど、用途地域などで制限を加えるよという区域です。

ここでは「市街化調整区域にある農地」についてお話を進めて行こうと思います。

農地の立地基準を知る

農地と一口に言っても、その立地基準が重要です。立地基準とは、その農地がどのように利用されているかの基準です。

大きく分けて5種類あります。詳しくは農地転用について詳しく解説する記事を書きたいと思いますが、ここで注意することは、下記の3つの立地基準に農地があった場合です。

・農用地区内農地
・甲種農地
・第1種農地

上記3つの農地にある場合は、原則転用不可で、特に「農用地区内農地」は通称「青地」と呼ばれる農地で、この農地を転用するためには非常に多くの手続きを有する事になります。

基本的にこの3つの農地の上に建物を建てることは出来ません。

どうしても「青地」に建物を建てたい場合

正直、上記の土地に建物を建てるということは不可能に近いのですが、100%無理というわけではありません。とはいえ、事業再構築補助金の事業期間内に建築が可能となる許可が下りるかというと微妙です。

・農振除外申請を行う
・開発行為や都市計画法、土地利用申請など他の法令上の制限も確認する

この「農振除外申請」は非常に厳しい要件と、期間がかかります。もし、事業再構築補助金の申請で上記土地で何か事業を企画するための建築を考えている場合、必ず「事前に」市区町村の農林課または土地コンサルさん、行政書士にご相談ください。

農地法の許可について

上記以外の農地の場合、農地転用申請で建物が建てられる可能性があります。

農地法の転用の許可申請または届出を行います。

ちょっと専門用語になりますが、農地法の申請では大きく分けて3つの申請があります。

申請区分概要
3条申請(届出)農地を農地として所有権を変更させるための申請です。
相続による名義の変更や、農家が農家に土地を売るなどの場合、申請を行います。
4条申請(届出)農地を自己所有のまま、他の地目へと転用する場合の申請です。
農地に建物を建てたり、駐車場を行ったりする場合です。
5条申請(届出)農地を他の地目にするとと共に、他の所有者へ売買などを行う場合の許可申請です。

主に、4条・5条が必要になってくるかと思います。

詳しい許可基準や、申請の方法などは改めて別記事でお話ししようと思いますが、まずは市区町村の農政課、農林課、都市整備を行う課へ転用の可否など見込みをお問い合わせください。

農地転用には時間と要件の確認、準備が必要です。

また、農振除外等の申請が絡む場合は、事業計画の見直しも含めて見込みをよく確認するようにしてください。

補助事業の採択は、この法令上の制限に関しては考慮されません。

まずは、ご確認をお願いいたします。