きたごう行政書士事務所よりお知らせ

【事業承継・引継ぎ補助金】公募要領を読む(経営革新型)

今回は公募要領を読む。ということで先日スタートした「事業承継・引継ぎ補助金」の5次公募の公募要領を見て行こうと思います。

今回は「経営革新型」の方を読んでゆこうと思います。

同じ補助金でも先日お話しした「専門家活用型」とは少し公募の形も要件も違います。そんな違いにも注目いただきながら、今回も要点などをざっくりとナナメ読みしてゆきたいと思います。

公募要領はコチラよりダウンロードいただければと思います。

「経営革新」を実現する。とはどういった事か。

これに関しては、まずはこの補助金の事業目的から見てゆきたいと思います。

事業の目的

中小企業生産性革命推進事業 事業承継・引継ぎ補助金(以下、「本補助金」という。)は、中小企業者及び個人事業主(以下、中小企業者と個人事業主を総称して「中小企業者等」という。)が事業承継、事業再編及び事業統合を契機として新たな取組を行う事業等(以下、「本事業」という。)について、その経費の一部を補助することにより、事業承継、事業再編及び事業統合を促進し、我が国経済の活性化を図ることを目的とする。
本事業のうち、事業再編・事業統合に伴う中小企業者等の事業承継を契機とする新たな取組(設備投資、販路開拓等)や廃業に係る経費の一部を補助する事業として、本公募要領においては、「創業支援型」、「経営者交代型」及び「M&A 型」の 3 類型(以下、総称して「本補助事業」という。)について定める。

公募要領P6より引用

例によって翻訳をしてゆくと、「この補助金は事業承継・引継ぎを促進してゆくためのもので、特に「経営革新型」では設備投資や販路開拓で新しい取り組みをしてゆくための事業で、そのタイプごと「創業支援型」「経営者交代型」「M&A型」3つの類型で行います」

ということです。つまり、事業承継を契機に「革新的な」新規事業を行う事業に対しての補助類型という事になります。

対象となる事業承継について

この上記の類型について、どんな事業承継が対象となるのかを見てゆきます。

公募要領P7より引用

創業支援型ですが、事業承継中に廃業を予定している人から経営資源を一体として引き継ぎ、新規で法人を立ち上げたり、、わかりやすい例で言いますと、個人事業主をやっていた方が事業を引き継いで新たに法人成りをしたりする場合、その「創業」を支援する類型です。

経営者交代型はいわゆる事業承継で、親族内承継や従業員の承継を行う場合ですが、重要な要件があり、それが「産業競争力強化法に基づく認定市区町村又は認定連携創業支援事業者により特定創業支援事業を受ける者等、経営等に関して一定の実績や知識等を有している者」である必要があります。これは大切な要件なので後でまた要件については詳しくお話しますね。

M&A型は文字通り、M&Aを行って、経営革新を実現する事業類型です。

専門家活用型と違うのは、それがM&Aだけではなく、親族内承継などにも事業承継の対応範囲が広いという事です。

事業承継の要件

翻訳の必要な文章をまた一回引用しますね。

本事業において補助対象となる事業承継は、2017年4月1日から2024年1月22 日(以下、「事業承継対象期間」という。)に、中小企業者等間における事業を引き継がせる者(以下、「被承継者」という。)(注 1) と事業を引き継ぐ者(以下、「承継者」という。)の間でM&A 等を含む事業の引き継ぎを行った又は行うこととし、「6.2. 事業承継形態に係る区分整理」で定める形態を対象とする。 ただし、経営者交代型(Ⅱ型)における同一法人内の代表者交代による事業承継においては、将来経営者となることが十分見込まれる後継者(以下、「後継者候補」という。)が選定されており、後述に定める要件を満たす場合、事業承継対象期間以降の事業承継においても、本補助事業の対象となる。 なお、承継者と被承継者による実質的な事業承継が行われていない(例:グループ内の事業再編、物品・不動産等のみを保有する事業の承継等)(注2)と事務局が判断した場合及び、M&A 型(Ⅲ型)において親族内承継であると事務局が判断した場合等は対象外となる。 また、M&A 型(Ⅲ型)のうち株式譲渡の形態においては、株式譲渡後に承継者が保有する被承継者の議決権が過半数超になることを補助対象事業の要件とする。

公募要領P12より引用

この文章を流行りのChatGPTさんに箇条書きでまとめてもらいました。

・対象となる事業承継は、2017年4月1日から2024年1月22日まで。
・対象となる事業承継は、中小企業者等間における事業を引き継ぐ者と事業を引き継ぐ者の間でM&A等を含む事業の引き継ぎを行った又は行うこと。
・経営者交代型(Ⅱ型)における同一法人内の代表者交代による事業承継においては、後継者候補が選定されている場合、事業承継対象期間以降の事業承継においても対象。
・実質的な事業承継が行われていない場合や、M&A型(Ⅲ型)のうち株式譲渡の形態においては、承継者が保有する被承継者の議決権が過半数超になることを要件とする。
・グループ内の事業再編、物品・不動産等のみを保有する事業の承継等は対象外。

ChatGPTによるまとめ

つまりは2017年4月1日から2024年1月22日までの間に事業承継(M&Aを含む)を行った(行う)人が対象で、後継者が決まっている経営者交代型はそれ以降もいいですよ。ということですね。

公募要領はこの後、その事業承継についての「区分整理」が書かれております。

これに関しては自社がどういった区分に当たるかをしっかり公募要領でご確認ください。

また、上記、事業承継について期間以降の「未来の承継」に関する要件は下記の通りです。

公募要領P15より

承継者の代表者が交付申請時点で代表権を有していない場合における資格要件

これは重要な項目ですので、しっかり見ておきます。

承継を行う方が申請時点でまだ引き継いでいない場合、どういった要件が必要か。上記の「後継者候補」であるか。という要件です。

大きく分けて「経営経験」「実務経験」「研修受講」にわけられます。

(1) 経営経験を有している(事業)者
・ 対象会社の役員として 3 年以上の経験を有する者
・ 他の会社の役員として 3 年以上の経験を有する者
・ 個人事業主として 3 年以上の経験を有する者 ※ 上記について、2024年 1月 22日までに上記基準の年数を超えること。

(2) 同業種での実務経験等を有している(事業)者
・ 対象会社・個人事業に継続して 3 年以上雇用され業務に従事した経験を有する者
・ 対象会社・個人事業と同じ業種において通算して 6 年以上業務に従事した経験を有する者 ※ 上記について2024 年 1月 22 日までに上記基準の年数を超えること

(3) 創業・承継に関する下記の研修等を受講した(事業)者
・ 産業競争力強化法に規定される認定特定創業支援等事業を受けた者
・ 地域創業促進支援事業(平成 29 年度以降は潜在的創業者掘り起こし事業)を受けた者
・ 中小企業大学校の実施する経営者・後継者向けの研修(具体的には経営後継者研修、経営管理者研修、経営管理者養成コースのいずれかの研修)を履修した者

公募要領P17より

経営経験は3年以上、実務経験は3年または6年、特定創業支援、地域創業促進事業、大学校の研修。いずれかで「経営経験がある」とされます。これは別に今足りていないと言っても2024年1月22日までに基準年数を超えていれば良いです。

補助対象事業

この補助事業の一番のポイントと言いますか、この点が活用する上で満たさなければならない大きな壁でもあります。

経営者の交代(予定を含む。)又は事業再編・事業統合等を契機として、承継者が引き継いだ経営資源を活用して行う経営革新・生産性向上等に係る取組を補助対象事業とする。なお、申請にあたっては、「認定経営革新等支援機関による確認書」にて下記要件(1)~(4)を満たしていることの確認を実施すること。
(1) 中小企業者等である被承継者から事業を引き継いだ中小企業者等である承継者による、引き継いだ経営資源を活用した経営革新等に係る取組であること。特に、事業承継の形態が「事業譲渡」の場合は、譲受対象資産を明確に活用した経営革新等に係る取組を補助対象事業の要件とするため、本点が実績報告時に確認できない場合は、補助金交付の対象外となる場合がある点に留意すること。
(2) 補助事業期間を含む5年間の補助事業計画において、生産性向上要件(「付加価値額」又は「1人当たりの付加価値額」の伸び率が3%/年の向上を含む計画であること。)を達成する計画を立案し、同計画の達成に関する蓋然性が高い取組であること。なお、付加価値額とは、営業利益、人件費、減価償却費を足したものをいう。 ※生産性向上要件の達成状況については、補助事業終了後の事業化状況報告等にて、事務局により進捗を確認するものとする。
(3) 「5.補助対象者 (1)~(10)」に該当する者が行う経営革新的な事業であること。具体的には、以下に例示する内容を伴うものであり、かつ、補助事業期間を含む事業計画において、認定経営革新等支援機関の署名がある確認書をもって確認ができる事業であること。
① デジタル化に資する事業 ※1
② グリーン化に資する事業 ※2 ‘
③ 事業再構築に資する事業 ※3

公募要領P19より

前提として、この補助金の申請には「認定支援機関」の関与が必須です。確認書をもらう必要があるので、事業計画時点から相談しておくと良いでしょう。

そして、すっきりとまとめますと。

(1)経営革新する事
(2)付加価値額年率3%以上の向上を達成する計画である事
(3)デジタルかグリーンか事業再構築を行う事業である事

ということです。ChatGPTよりスッキリまとめました。

説明が足りないので、捕捉しますと、(1)の経営革新する事。というのは、自社の経営資源(強み、知的財産、知的資産など)を活かして、新たな事業を行い、生産性向上や販路開拓、競争力強化を行おうという事で、その革新的の範囲なのですが「自社でも他社でも一般的ではない新しい取り組み」とされています。

(2)の付加価値額とは「営業利益+人件費+減価償却費」の合計で、この数値が年率3%以上上昇する計画であるかという事です。

(3)は詳しくこれから公募要領を読んでゆきましょうね。

デジタル化事業

単にアナログをデジタル管理とするだけでなく、「DX」に資する必要があります。

※ 単にデジタル製品の導入やアナログ・物理データの電子化にとどまり、既存の業務フローそのものの見直しを伴わないもの、及び導入先企業において前述の単なる電子化にとどまる製品・サービスの開発は、補助対象経費とはならない(例:帳票の電子保存システム・デジタルスキャナ・電子契約書サービスの導入等、電子書籍・デジタル卒業 アルバムサービスの開発等)。

DX推進指標サイトで自己診断を行いIPAに提出、SECURITY ACTIONの宣言を行う必要があります。

グリーン事業

上記のデジタル事業もそうですが、ものづくり補助金のグリーン枠と同じ要件で、「温室効果ガスの削減」「脱炭素」を目標としておりまして、炭素生産性を平均1%以上増加する計画である必要があります。

事業再構築事業

ちょっと長いのですが、そのまま引用します。

事業再構築補助金に申請した事のある方ならなじみ深い言葉が並んでいるかと思います。

これに関しては事業再構築補助金の記事などを読んでいただければ幸いですが、上記をよくよくご確認いただき、特に「非該当例」を読んでご注意いただければとも思います。

補助対象経費

この補助金ではかなり幅広く対象経費が認められております。

ここでは個別の「これって対象になるの?」はお答えできませんが、公募要領のP60以降の経費についての別添資料はよく読んでおいてください。

これだけで1つの記事になりそうなので、また詳しくはまとめてゆきたいと思いますが、この記事では上記が対象になる「可能性がある」と読んでいただければと思います。

補助上限額、補助率等

この2/3になる要件ですが、「小規模事業者」「再生事業者」「物価高で営業利益率が減少している」などの要件で2/3となります。(公募要領P9~P10)

補助上限額が上がる要件はやっぱり賃上げです。

必要書類

これに関しては、申請区分について異なります。

共通して必要なものは

・交付申請書(別紙)
・ 認定経営革新等支援機関による確認書

となっており、認定支援機関の関与が必須となっております。これの必要書類に関しては改めてまとめてゆきますので、ここではすっ飛ばします。公募要領をご確認ください!

審査・選考

審査項目は資格審査(要件充足や書類不備が無いか)を経て、計画の審査となります。

① 経営革新等に係る取組の独創性 技術やノウハウ、アイディアに基づき、ターゲットとする顧客や市場にとって新たな価値を生み出す商品、サービス、又はそれらの提供方法を有する事業を自ら編み出していること。
② 経営革新等に係る取組の実現可能性 商品・サービスのコンセプト及びその具体化までの手法やプロセスがより明確となっていること。事業実施に必要な人員の確保に目途が立っていること。販売先等の事業パートナーが明確になっていること。
③ 経営革新等に係る取組の収益性 ターゲットとする顧客や市場が明確で、商品、サービス、又はそれらの提供方法に対するニーズを的確に捉えており、事業全体の収益性の見通しについて、より妥当性と信頼性があること。
④ 経営革新等に係る取組の継続性 予定していた販売先が確保できない等、計画通りに進まない場合も事業が継続されるよう対応が考えられていること。事業実施内容と実施スケジュールが明確になっていること。また、売上・利益計画に妥当性・信頼性があること。

公募要領P47より

経営革新型と言っているので、やはり「独自性」「独創性」、「コンセプト・プロセスの明確化」、「市場性」「収益性」、「リスクマネジメント」「実現可能性」が審査されます。

加点項目は下記の通りです。

(1) 「中小企業の会計に関する基本要領」又は「中小企業の会計に関する指針」の適用を受けていること。
(2) 交付申請時に有効な期間における「経営力向上計画」の認定、「経営革新計画」の承認又は「先端設備等導入計画」の認定書を受けていること。
(3) 交付申請時に「地域おこし協力隊」として地方公共団体から委嘱を受けており、かつ承継者が行う経営革新等に係る取組の実施地が当該地域(市区町村)であること。
(4) Ⅰ型の申請にあたって、認定市区町村による「特定創業支援等事業」の支援を受けていること
(5) Ⅰ・Ⅲ型の申請にあたって、第三者により補助対象事業となる事業承継の形態に係るPMI 計画書(100 日プラン等)が作成されていること。
(6) 交付申請時点で「地域未来牽引企業」であること。
(7) 交付申請時点で「健康経営優良法人」であること。
(8) 交付申請時点で「サイバーセキュリティお助け隊サービス」を利用する中小企業等であること。
(9) 交付申請時点で「(連携)事業継続力強化計画」の認定を受けていること。
(10)交付申請時点で、申請者の代表者(予定を含む。)が「アトツギ甲子園」のファイナリストであること。

公募要領P47~P48

申請前には隅々まで公募要領のチェックを!

今回は、ざっくりと制度について対象者や経費について読んでゆきましたが、実際に申請しようとする場合には公募要領を必ず、読破してください。

ちょっと難解な表現も多いとも思います。読むのがちょっと嫌だなって方は一緒に読みますし、解説もしてゆきますのでお気軽にお声掛けくださいませ。

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当事務所は認定経営革新等支援機関として、皆様の事業ステージに合わせたサポートを行っております。(認定番号 107422000314)

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対象地域

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サポートの流れ

  1. お問い合わせ (メール、またはお電話にてご連絡をお願いいたします)
  2. 予診 (30分 ZOOMまたはご来所の場合無料、補助金についてのご説明、お見積り、ご相談)
  3. ご契約 (当事務所のサポート内容、重要事項説明をさせていただきます。)
  4. ヒアリング(補助事業の内容、加点申請の有無、現在の事業について、など2回~5回のヒアリングを行います)
  5. 申請サポート(事業計画、加点申請等、申請まで伴走してサポートいたします

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