【事業再構築補助金】事業計画書は「申請者自身」の作成するようにと明記されたことから見る「補助金申請の注意点」
3月30日に公開された事業再構築補助金 10次募集の公募要領に気になる一文が追加となりました。
これまでも、そしてこれからも、「補助金とは申請者の事業」であることに変わりなく、もちろん「事業計画書」も申請者が企画し、検討し、策定するのは当然なのではありますが、なぜこの一文を追加したのか。
その辺も踏まえて今回は「補助金申請の注意点」をお話しできればと思います。今回はコラムです。
事務局に問い合わせてみた
まず、敢えて「※事業計画書は、申請者自身で作成してください。」と公募要領に記載されたのか。ですが、色々な推理がSNSをはじめ界隈で溢れました。推測で物を言っても仕方ないので、勇気を振り絞って「事業再構築補助金 事務局」へ電話して聞いてみました。(他の質問ポイントも含めて)
事務局の人が言うには
・既に同様の問い合わせはかなり受けている
・必ずしも申請に関する助言やサポートを否定するものではない
という前置きの元、お答えの要旨はこんな感じでした。
・事務局から過去に採択された事業者に問い合わせなど行ったところ申請者自身が申請内容をほとんど理解していないケースが頻発していた。
・補助事業に係る事業計画において申請の段階から申請者自身が主体的に行うべき
というものでした。
その心は
結論から申し上げますと、補助金は自社の経営に関わる重要な事だから、コンサルに丸投げせずに、自分でしっかりと計画を立てろと。そういうことです。
事業再構築補助金は非常にコロナ禍の中でニーズの高い事業で、多数の事業者が利用しました。
そんな中、
「申請を丸投げで”代行”します」
「事業計画書を全て作成します」
といったような文言であたかも「補助金を簡単にもらえる」というような「補助金申請をサポートする事業者」が多く出現しました。
結局、こういった状態がもたらしたことは何だったのか。それがこの一文の深い意味にも繋がってゆくのではと考えております。
補助金申請に関する注意点
① 丸投げは良いことがない
補助金申請を丸投げ、つまり事業計画書の作成から申請に至るまで、自社では必要書類を用意し、ヒアリングシートか何かに答えるだけで気が付いたら採択されている。認定支援機関と一度も顔をあわせることもなく、具体的なアドバイスも無く、事業計画書が出来上がっていて、補助金がもらえる。というようなサービスを利用しても「ほとんど」良い結果になる事は少ない。
そう思って差し支えないと思います。
この問題点は、下記の通り、
・事務局との交付申請から実績報告までの折衝など、問合せに答えらない
・スケジュールや経費の内容を把握せず(自社で公募要領などを読むことも無い)に事業に臨むため、対象外経費を計上してしまうなど補助金が計画通り受け取れないことがある
・「補助金採択」のための事業計画なので、中長期的に見て事業が黒字化しないなど事業化してゆかない
といった問題点に直面する事が多いです。
全部が全部そうではないとは思いますが、上記は実際に合った事例で、採択後に相談を受けたケースではこうした現状が多かったです。
本来、「補助金申請サポート」とは「補助金を採択させるため」のサービスではなく、「補助金を使ってまで行う事業であるかの相談」や「将来にわたって、プラスになる投資かどうか」を適切にアドバイスし、適切な補助事業の申請をサポートするお仕事であると思っております。
こうした側面からも、補助金を「丸投げ」は良くないと言いたいと思います。
② 補助金は「お金がもらえる」ではなく「投資である」という意識をもつこと
補助金は「返済不要で〇〇万円もらえる」というものではない。ということです。
補助金は事業再構築補助金のように、思い切った事業転換を行わざるを得ない状況の際、または意図的に思い切った投資を行い、トレンドとなる産業に勝負をかける。といった際に、投資額の半分なり75%が帰ってくれば非常に助かります。
ところが、「〇〇円もらえる」というモチベーションでは非常にギャンブル性も高くなり、「満額申請したほうが採択率も上がるからできるだけ経費を計上しておいた方が良い」など囁きにのってしまい、資金調達計画もそこそこに、「それ本当に今必要?」という経費を計上し、その後、過大な投資となってしまうケースがあります。
ご存じの通り、補助金は「後払い」です。経費支出の後、適正な証憑を提出し、検査を経て支払われます。
その間にも、運転資金や既存事業のコストは支出されますし、当然、借り入れの返済も始まります。
認定支援機関がきっちりサポートしている場合にはそういった状況でも耐えられるような計画をアドバイスするものですが、「丸投げ」などを行ってしまうと、調達先の金融機関や顧問税理士さんもそういった投資計画を知らずに、補助金の投資が始まってしまいます。
自社の大事なお客様のため、社員のため、家族のため、大事な資金を投資する事業です。
まずは「投資するべきか否か」この辺から補助金の活用をお考えになるのがよいのではないでしょうか。