きたごう行政書士事務所よりお知らせ

ものづくり補助金 公募要領からみる「事業計画書」作成の注意点、審査項目 ② 諸注意点と、事業計画書の詳細記載ポイント

はじめに

本記事の記載内容についての注意点

※本記事は「ものづくり・商業・サービス補助金 18次公募 公募要領 1.0版」を参照し、記載しております。公募要領は予告なく変更・更新されます。公募要領をご覧になる際は必ず最新の公募要領をご確認いただきますようお願いいたします。

前の記事はコチラ

事業計画作成時の諸注意点

◼事業計画の策定に際して専門的な支援が必要な場合は、お近くの認定経営革新等支援機関にご相談ください。
認定経営革新等支援機関検索システム https://ninteishien.force.com/NSK_CertificationArea
◼電子申請システム操作マニュアルの指示に従って、入力漏れや誤りがないよう、申請してください。申請の準備にあたっては、【参考様式】を参照し、入力が必要な項目をご確認ください。添付書類については、「5-3添付書類」を参照し、決められたファイル名にしてください。
◼添付資料が所定の場所に登録されていない場合やファイルの作成方法等の不備またはパスワードの設定等により事務局にて内容の確認ができない場合は、審査ができませんので十分ご注意ください。
◼事業計画書の具体的内容については、「6-1書面審査」をご確認の上で作成してください(電子申請システムにPDF形式のファイルを添付してください。事業計画書は、A4サイズで計10ページ以内での作成にご協力ください。記載の分量で採択を判断するものではありません)。
◼製品・サービス高付加価値化枠については、生産性向上に資する取り組みを行うにあたって、年収350万円以上の正社員(無期雇用)を新たに採用する場合は、厚生労働省所管の産業雇用安定助成金(産業連携人材確保等支援コース)を併給できるケースがあります。
◼上記の助成金について活用を希望する事業者におかれては、申請システムのチェックボックスに記入するとともに、次のイ~ハについて事業計画書に明記してください(記載が無い場合、本助成金の支給は受けられません)。
イ 採用予定者の配置部署・役職名、部下の有無
ロ 採用予定者が従事する業務の内容(生産性向上に資する取り組みとの関連性を含む)、職種
ハ 採用予定者に求める資格、スキル、経験など
(参考)産業雇用安定助成金(産業連携人材確保等支援コース)とは?
景気の変動、産業構造の変化その他の理由で事業活動の一時的な縮小を余儀なくされた事業主が、生産性向上に資する取組等を行うため、当該生産性向上に資する取組等に必要な新たな人材の雇入れを支援するものです。助成内容や支給を受けるための要件などの詳細については、厚生労働省ホームページへ掲載しておりますのでご確認ください。
・厚生労働省ホームページURL
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/sankokinsangyourenkeijinzaikakuhotou_00001.html
・ご不明な点は、下記のコールセンターまたは最寄りの都道府県労働局、ハローワークまでお問い合わせください。
【雇用調整助成金、産業雇用安定助成金コールセンター】
電話番号:0120-603-999 受付時間:9:00~21:00(土日・祝日も受け付けています。)
なお、本事業で補助金交付候補者として採択されたことをもって事業計画に記載されたすべての雇い入れについて助成金の対象として認められる訳ではございません。助成金の支給申請後、要件審査の上で支給決定を行いますので、あらかじめご承知おきください。

まずは上記、一気にまとめますと

・認定支援機関を活用してね
・ファイルにパスワードなどかけないでね
・厚労省の産業雇用安定助成金(産業連携人材確保等支援コース)を併給出来る場合があります。

というご案内になります。

◼認定経営革新等支援機関や専門家等の外部支援を受けている場合には、事業計画書作成支援者の名称、報酬、契約期間を必ず記載してください。支援を受けているにも関わらず情報が記載されていないことが明らかになった場合には、申請にかかる虚偽として、不採択、採択決定の取消、補助金の返還又は事業者名及び代表者名を含む不正内容等の公表を行います。

当事務所のような支援機関に支援してもらった場合はその旨を記載しなさいとあります。

なぜか、界隈では「支援者の名前は書かないほうが良い」とかいう謎の情報も流れていまして、書かないって人もいるのですが、明確に記載しなさいと言われているので、必ず記載するようにしてください。

◼事業内容に直接関係のない不必要な個人情報(例えば、社長、役員、従業員及び顧客の顔写真等)は掲載しないでください。

何と言いますか、これも「社長の顔写真載せたほうが審査員の心証が良い」とかそういう都市伝説もありましてね・・。別に入れる必要のない情報は削除しましょう。

詳細に記載するポイントについて

◼事業計画書「補助事業の具体的な内容」については、以下のポイントを詳細に記載いただくようお願いたします。

というわけで、以下は事業計画書の作成ポイントになります。

補助事業計画書はものづくり補助金の場合「その1:補助事業の具体的取組内容」「その2:将来の展望(事業化に向けて想定している市場及び期待される効果)」「その3:会社全体の事業計画」の3パートに分けて記載します。上にも記載した通り、合計で10ページ程度になるように記載しましょう。

ということで、その1には何を記載するか。というところから、公募要領を引用し、見てゆきたいと思います。

① 目的・手段を記載する。

目的とは、この補助事業で設備導入や新サービスを開発するにあたり、どのような効果を期待しているのか。です。手段はそのために何をするか。設備を導入してどうするのか。そういった事を記載するわけですが、そのために、こういったように記載してください。と、あります。

・取組の経緯、開発の内容、機械装置を取得しなければならない必要性について記載する。
・課題解決のための工程・開発内容
・具体的な目標・達成手段の記載

取組の経緯というのはいわゆる「課題」です。機械装置を取得しなければならない必要性も踏まえ、例えば、これまでの自社の取組から取引先からより多くの製品の納品を求められているが、生産ラインの効率化を図らないと実現できず、機会損失に繋がってしまう。といったような、記載が必要です。「なぜ」この機械設備を導入するのか。それを明確にする必要があります。

課題解決のための工程・開発内容は実際に導入スケジュールから試作品開発、またはテスト運用や事業化までの工程を明確にし、実現可能性を記載します。

具体的な目標・達成手段は、定量的な数値で表しましょう。具体的というのはそういうことです。

②は先日の記事をご覧ください。

③についてですが、まとめるとこういった事です。

  1. 他者との差別化と競争力強化の実現方法、仕組み、実施体制を具体的に説明
  2. 省力化枠申請では、人手不足の状況、課題、取組み内容、設備・システム導入による生産プロセスの効率化を具体的に記載
  3. 高付加価値化枠申請では、革新的な製品・サービスの開発内容を具体的に記載
  4. グローバル枠申請での広告宣伝・販売促進費の対象経費計上時には、ブランディング・プロモーションのマーケティング戦略を具体的に記載

まずは、他社との競争力強化についてです。基本的に他社の後追いや、競争から周回遅れをしているのを取り戻すためではなく、仮にすでに一般的である設備を導入するにしても、それで他社との間にどんな差別化が図れるかを記載することになります。

いわゆる「革新性」です。

省力化枠では実際に「人手不足の状況」や「課題」を明記し、そしてもちろん申請要件である「生産プロセスの効率化を具体的に記載」する必要があります。つまり「労働生産性の2倍上昇」ですね。

追加記載事項として、

上記の記載が必須となっております。

高付加価値枠は通常枠とDX・GXになりますが、革新的な製品・サービスの内容、つまり付加価値額上昇のプランを具体的に明記します。

GXについては14分野との関連性を記載します。

グローバル枠に関してはここでは割愛します。

そして、その2です。

その2ですが、その1では事業内容を書き、その2ではその「勝ち筋」のエビデンスを記載することがメインになります。

①の部分では、本事業の成果がどのように市場に貢献するかに焦点を当てる必要があります。これには「具体的なユーザー・マーケット」と「市場規模」に関する詳細な記述が含まれるべきです。ここで重要なのは、対象市場の成長性を客観的なデータに基づいて示すことです。市場が成長していることを示しつつ、ただし成長市場が自動的に競争が激しいレッドオーシャンを意味するわけではないため、市場内での自社製品やサービスの価格的・性能的な優位性や収益性を、競合分析や性能比較を通じて明らかにし、その情報を資料に基づいて提示することが求められます。

②では、本事業による成果の事業化の見通しに関して、目標達成の時期、想定される売上規模、量産化に伴う製品価格などについて簡潔に述べる必要があります。また、事業の実施に必要な運転資本の調達計画の有無も記載することが求められます。このセクションでは、提案される事業が会社の収益にどのように貢献するか、そしてその実現までの道のりを具体的に描写することが重要です。

その3はいわゆる「数値」です。3~5年での損益シミュレーションを記載すると良いですが、すくなくとも外せないのが「付加価値額」と「給与支給総額」です。

計算根拠を示せというのは、例えば付加価値額の構成する要素は「営業利益」「減価償却費」「人件費」ですが、例えば「減価償却費」について、本設備1,500万円を10年、定率法で償却する。など少なくとも数値の根拠は記載したほうが良いでしょう。

上記のポイントと「審査項目」を踏まえて記載する

いわゆるここまでの記載は「事業計画書の記述ガイドライン」を示したものに過ぎず、実際のところは事業者さんごとの課題や事業計画によって記載量もその内容も異なってきます。

重要なのは、提出された事業計画書が審査基準にどれだけ合致しているか、そして提案された事業が政策目標にどの程度貢献できるかを、審査員が判断することです。

次回は、公募要領に基づく審査項目について詳しく見ていきたいと思います。