きたごう行政書士事務所よりお知らせ

ものづくり補助金 公募要領からみる「事業計画書」作成の注意点、審査項目 ③ 書面審査、事業計画書の審査項目 2:事業化面

はじめに

本記事の記載内容についての注意点

※本記事は「ものづくり・商業・サービス補助金 18次公募 公募要領 1.0版」を参照し、記載しております。公募要領は予告なく変更・更新されます。公募要領をご覧になる際は必ず最新の公募要領をご確認いただきますようお願いいたします。

審査項目 3、事業化面について

前回、技術面の審査では「革新的であること」「課題が明確であり解決方法が妥当であること」「優位性のある事」「実現可能性があること」をしっかり審査されるので書きましょう。といったお話でした。

今回は「事業化面」についての審査項目を読んでゆきましょう。この審査項目は事業計画のその2に記載することが多いポイントかなと思います。

(3)事業化面
事業化の方法スケジュール等が具体的か、製品サービスの市場性があるか、企業の収益性・生産性は向上するか、を評価します。
■補助事業実施のための社内外の体制(人材、事務処理能力、専門的知見等)や最近の財務状況等から、補助事業を適切に遂行できると期待できるか。金融機関等からの十分な資金の調達が見込まれるか。
■事業化に向けて、市場ニーズを考慮するとともに、補助事業の成果の事業化が寄与するユーザー、マーケット及び市場規模が明確か。クラウドファンディング等を活用し、市場ニーズの有無を検証できているか。
■補助事業の成果が価格的・性能的に優位性や収益性を有し、かつ、事業化に至るまでの遂行方法及びスケジュールが妥当か。
■補助事業として費用対効果(補助金の投入額に対して想定される売上・収益の規模、その実現性等)が高いか。
また、事業内容と経費とが整合しており、導入前と導入後の比較の上で費用対効果が明確に示されているか。

「事業化」というので、今回の設備投資や新事業が一過性のものではなく、しっかりと会社の事業として成り立つか。も審査ポイントです。

まずは、基本的に「この補助事業を終わらせられる体制は整っているか」が審査されます。

■補助事業実施のための社内外の体制(人材、事務処理能力、専門的知見等)や最近の財務状況等から、補助事業を適切に遂行できると期待できるか。金融機関等からの十分な資金の調達が見込まれるか。

よくあるのが、代表一人で事業統括とプレイヤーを兼ねており、既存事業もあるため、忙しくて期間内に事業が完了できない、あるいは煩雑な事務作業が間に合わないなどのトラブルが生じます。

また、補助金ですので、設備投資はいったん自社で全額支払うため、その間に資金ショートを起こしてしまっては本末転倒です。

ですので、「社内体制・社外体制は整っているか」「最近の財務状況はどうか」「自己資金か調達か」「金融機関からの調達は見込めるか」が審査ポイントになります。

そして、そもそもその新製品・新サービスが市場に受け入れられるかどうか。その新サービスのターゲットやニーズがあるのかどうかを客観的に示してゆきます。

■事業化に向けて、市場ニーズを考慮するとともに、補助事業の成果の事業化が寄与するユーザー、マーケット及び市場規模が明確か。クラウドファンディング等を活用し、市場ニーズの有無を検証できているか。

ある程度成長している市場であれば容易でしょうが、ニッチな産業である場合は、しっかりと顧客ニーズを探ってゆく必要があります。そのためにテストマーケティングとしてクラファンなんかを試す場合もありますが、市場ニーズの有無の検証は必要です。

市場ニーズの有無の検証はちょっとわかりにくいですが、クラファンがわかりやすいですが、アンケートや顧客への聞き取り、またはその事業に係る問い合わせ数についてなど、できるだけ具体的に、かつリアルな数字でニーズの有無を記載したほうが良いでしょう。

そして成果としての優位性、そしてスケジュールの妥当性です。

■補助事業の成果が価格的・性能的に優位性や収益性を有し、かつ、事業化に至るまでの遂行方法及びスケジュールが妥当か。

ここでいうスケジュールとは「事業化までのスケジュール」で開発の工程ではありません。

優位性や収益性は当社比というより市場においての立ち位置と、同業他社との比較が一般的で、価格的・性能的に優位性や収益性があるか。そういった記載をします。

■補助事業として費用対効果(補助金の投入額に対して想定される売上・収益の規模、その実現性等)が高いか。
また、事業内容と経費とが整合しており、導入前と導入後の比較の上で費用対効果が明確に示されているか。

そして、費用対効果ですが、今回は特に省力化枠ではしっかりと数値で記載します。

申請要件のおさらいですが、省力化枠では下記のような数値で投資回収性を示します。

(2)3~5年の事業計画期間内に、投資回収可能な事業計画を策定すること
※ 投資回収年数は「投資額/(削減工数×人件費単価)」とする。

ほかの枠では上記のような3~5年で回収計画を策定する必要はありませんが、投資にかかる収益、投資前と投資後を比較し、費用対効果はすくなくとも比較検討し、記載するようにしましょう。