きたごう行政書士事務所よりお知らせ

ものづくり補助金 公募要領からみる「事業計画書」作成の注意点、審査項目 ③ 書面審査、事業計画書の審査項目 1:技術面

はじめに

本記事の記載内容についての注意点

※本記事は「ものづくり・商業・サービス補助金 18次公募 公募要領 1.0版」を参照し、記載しております。公募要領は予告なく変更・更新されます。公募要領をご覧になる際は必ず最新の公募要領をご確認いただきますようお願いいたします。

審査は「書面審査」と一定規模以上の申請の場合(基準は非公開)、「口頭審査」がある

基本的に審査は事業計画書を電子申請で添付し書類による審査で採択不採択が決まります。

ただし、17次公募からは一定額以上の申請の場合「口頭審査」が行われるとされております。

今回は、「書面審査」。つまり「事業計画書」の記載内容についての審査項目をみてゆこうと思います。

審査項目

(1)補助対象事業としての適格性
公募要領に記載の対象事業、対象者、申請要件、申請枠、補助率等を満たすか。3~5年計画で「付加価値額」年平均成長率3%以上の増加等を達成する取組であるかを審査します。

まずはそもそもの申請対象者か。基本要件は満たすかのまぁ、計画以前の審査ですね。

(2)技術面
製品やサービスの開発が革新的であるか、課題に対する解決の方法が明確で具体的かを評価します。既に世の中に普及している技術の導入や設備導入のみによって容易に達成でき、技術革新性が低い事業は、低い評価を受ける傾向があります。また、「1-1-1事業の目的」に沿わない事業は対象外となります。
【全枠共通項目】
■新製品・新サービス(既存技術の転用や隠れた価値の発掘(設計・デザイン、アイデアの活用等を含む))の革新的な開発または省力化及び生産性向上に資する生産プロセス改善やサービス提供方法の改善の取組となっているか。
■「中小サービス事業者の生産性向上のためのガイドライン」又は「中小企業の特定ものづくり基盤技術及びサービスの高度化に関する指針」に沿った取組であるか。
■試作品・サービスモデル等の開発における課題が明確になっているとともに、補助事業の目標に対する達成度の考え方を明確に設定しているか。
■課題の解決方法が明確かつ妥当であり、優位性が見込まれるか。
■補助事業実施のための技術的能力が備わっているか。

キーワードで「革新的であるか」というワードが出てきており、また、「技術的革新性が低い」事業は、「低い評価」を受ける傾向にある。と明記されています。

「革新的」という言葉の定義はいわゆる「自社でも他社でも一般的ではない技術、サービス」という意味合いで、いくつかに言葉を分解するのであれば「新規性」「独自性」「模倣困難性」といったところでしょうか。

つまり、上記文章にある通り、「既に世の中に普及している技術の導入や設備導入のみによって容易に達成でき」てしまう事業は「新規性」もないですし「独自性」も感じられない。当然、それ自体が模倣であるので他社からの「模倣困難性」については概念すらないということで、「革新性」は低いと解されます。

とはいえ、ここまで仰々しく表現してしまうと「革新性」なんて無理じゃん・・イノベーションなんてそう簡単にはいかないよ。と思われるかもしれません。簡単じゃありませんが、普段やっている「ノウハウ」や「工夫」、自分ならではの「顧客から評価されているポイント」ここの深堀から革新性が生まれてくることもあります。

迷ったらぜひご相談ください。一緒に「革新の種」を見出してゆきましょう。

■試作品・サービスモデル等の開発における課題が明確になっているとともに、補助事業の目標に対する達成度の考え方を明確に設定しているか。

そんなわけで、新しい技術やサービスは「課題」を解決するものであるはずです。というわけで、解決するべき課題が明確になっている必要があります。

課題というのが例えば「設備の老朽化」では明確なようで明確ではなく、設備の老朽化によって何がどうなるのかまで明確にします。例として、「顧客からは市場の変化に伴い、さらなる増産を求められた。当社は実現可能な技術力はあるが、設備の老朽化で生産力が足りなくなる可能性がある。近年の人手不足の現状も相まって、省力化と生産性の向上を行うことは喫緊の課題である。」こんな感じでザックリと書いてみましたが、このくらいの課題の明確化を行う必要はあります。

そして「達成度の考え方」を明確にします。補助事業の目標に対する達成度の考え方。ですので、明確にした課題についての解決法と、数値的目標を明確にし、その達成度の考え方の記載をします。

新設備を導入し、生産リードタイムを30%削減する(100分→70分)ことで達成とする。

といったような感じですね。

■課題の解決方法が明確かつ妥当であり、優位性が見込まれるか。
■補助事業実施のための技術的能力が備わっているか。

課題を明確にしたらもちろん、解決方法も明確であり、そして正解である。まぁ、妥当かなとする方法である必要があります。

その方法が他社に比べての優位性があるものでなくてはなりません。つまり、他社との競争劣後性を解消するだけの手段では優位性があるとはいえませんね。

そして、機械を入れても革新的な手法を思いついても実現できる技術的能力がなければ絵に描いた餅です。実現可能性があるという旨を、これまで培われたノウハウ、キャリア、あとはまぁ、国家資格などで技術力の有無を示す必要があります。

【省力化(オーダーメイド)枠のみ】
上記【全枠共通項目】に加え、以下の項目を追加。
■システム開発については汎用的に利用できるパッケージシステムを元に、顧客の希望に合わせて機能を追加するなどのカスタマイズを行う開発方式や、システムやソフトウェアをゼロからオーダーメイドで開発する開発方式となっており、オーダーメイドの取組になっているか。
■人手不足の解消に向けて、デジタル技術等を活用した専用設備(オーダーメイド設備)の導入等により、革新的な生産プロセス・サービス提供方法の効率化・高度化を図る取り組みに必要な設備・システム投資等となっているか。

省力化枠では、上記のポイントでも審査されます。

まずは、もちろん「オーダーメイド」であること。カタログから選んで既製品を導入するということではなく、既製品をカスタマイズする開発方式か、ゼロイチで作るか。この開発過程の明記は必須です。

【製品・サービス高付加価値化枠のみ】
上記【全枠共通項目】に加え、以下の項目を追加。
■3~5年の事業計画期間内に新製品・サービスの売上高の合計額が企業全体の売上高の10%以上となる事業計画となっているか。

製品・サービス高付加価値化枠では事業期間内に、新製品・サービスの売り上げの合計額が企業全体の売上高の10%以上となる計画か。少なくとも会社の事業の1割に寄与する計画ではないと投資する意味もないということですね。数字はしっかり明記します。

【製品・サービス高付加価値化枠の内、成長分野進出類型(DX・GX)のみ】
上記【全枠共通項目】に加え、以下の項目を追加。
■DX:DXに資する革新的な製品・サービスの開発であること。
■GX:グリーン成長戦略「実行計画」14分野に掲げられた課題の解決に資する革新的な製品・サービスの開発であること。

この辺は要件通りですね。DXはDXに資する開発、GXはグリーン成長戦略「実行計画」14分野との関連性ですね。

【グローバル枠のみ】
上記【全枠共通項目】に加え、以下の項目を追加。
海外事業の取組等の妥当性(グローバル枠のみ。事業計画書を元に審査します。)
■海外展開等に必要な実施体制や計画が明記されているか。また、海外事業に係る専門性を申請者の遂行能力または外部専門家等の関与により有しているか。
■事前の十分な市場調査分析を行った上で、競争力の高い製品・サービス開発となっているか。
■国内の地域経済に寄与するものであるか。また、将来的に国内地域での新たな需要や雇用を創出する視点はあるか。
■ブランディング・プロモーション等の具体的なマーケティング戦略が事業計画書に含まれているか。
Ex.)
①海外への直接投資を含む計画:
メキシコに部品工場を設置するにあたり、取引先の進出状況や現地での材料調達状況を踏まえ事業計画を策定。
②海外への輸出を含む計画:
自社商品がシンガポールの高齢化社会にニーズがあると外部の調査会社に委託して情報収集。
③海外からのインバウンドを含む計画:
インドネシアにおいて、ウィンタースポーツの需要があることを現地でのインタビュー調査により情報収集。
④海外企業との共同事業を含む計画:
自社の洗剤に興味を持つアメリカのベンチャー企業がいることを民間コンサル経由で情報を入手。

グローバル枠に関してはやはり海外展開の「妥当性」「実現可能性」がポイントになります。上記例を見ながら記載してください。